森山大道のハワイ

アサヒカメラ2009年1月号買った。このとこ月例コンテスト不調だけど、モチベーション高めないとだしね。

年末売出しらしく 2008年回顧的記事が並んでます。で写真集でも展評でも当然のよに言及されてる森山大道さんの「ハワイ」の話。写真集の回顧では、猥雑な新宿とちがい自然を対象に森羅万象を云々とあるんだけど、これ本当だろうか。

僕は半分同意だけど、半分は何見てんだよと思う。だってさ、同じだもん。ハワイでもさ、おのれの目に映るあやしく胡散くさいイメージに吸い寄せられて、時に寄り添ってみたり、時に手のひらを返したり、時に手ひどく切り刻んでみたり。これって新宿でもどこでも全く同じだよね。

回顧展のポスター、憶えているだろうか。いかにも艶かしくエロい女の唇、よく見ると生の女じゃなくてピンナップでした、という。そんないかにもナントカらしいけど実はってな胡散臭さに彼は釣られてフラフラし続けてる人だ。言い換えると彼は現実なんか見ちゃいない。自分の妄想のなかにあるイメージの、影を探しては撮り続ける人。

それはハワイでも、笑っちゃうくらいおんなじだ。海、空、山、花、ワイキキビーチ... 去年のギャラリー展の入口近くなんか、おおっこれがハワイだぜとかアドレナリン出ちゃうくらい、コッテコテのわかりやすい楽園ハワイぶりだった。

もっと決定的なショットが写美の展示にあった。どこかの家のリビングルーム、額縁におさめたダイヤモンドヘッドの絵が飾ってあるんだよ。実物見たことない僕にもすぐわかるくらい分かりやすい、絵に書いたような絵が。これってそのままエロスではない何かではないか。

でもってハワイの楽園ぶりと同じくらい、濃い影の部分も彼は魅入られたように撮ってる。写真集は僕は未見なんたけどギャラリーでも写美でも、写ってる人物はほとんどポリネシア系とか日系とかで白人は少ない。いてもバターン化した風景の中の無個性な添景みたい。うまく言えないけどどうしようもない感が匂い立つようなシーンの数々。

これってむしろ同じじゃないのか。だから森山大道はハワイの森羅万象をどうのってのは、なんかどうかと思うんだ。